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Channel: 縄文エッセイ
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第21回 遺跡を楽しむ、遺跡で遊ぶ、遺跡を育てて未来にわたそう

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新型コロナウイルスの関係で、三内丸山遺跡は公開しているがボランティアガイドの活動は中止している。一日も早い終息を祈るばかりである。それでも暖かい日ざしに誘われて、遺跡を散策してみる。ニワトコの早い芽吹きに春を感じモグラの穴の多さに驚いたり、小さな湧き水を見つけて感動したりと楽しんでいる。

もうニワトコが芽吹きました

 

今年は縄文遺跡群にとって世界遺産の道への最終章の始まりだと思うと身がひきしまる。
私たち地元の盛り上がりはどうなのだろう。
「縄文遺跡群を世界遺産に」は確実に裾野がひろがっていると実感している。
テレビ等で報道された次の日に近くのスーパーに行くと、なじみの店員から「昨日テレビで見たんだけれど、世界遺産ってあの世界遺産?」と聞かれ、愛犬の散歩中やゴミ出しに行くと、近所の人から「三内丸山に行ぐと世界遺産さ行ぐごと?」と話し掛けられる。「んだ!自転車で行げる世界遺産だ」等々。すごーく普通の日常生活の中で顔なじみの普通のおばさんと道端で世界遺産バナでちょっと盛り上がる。
もちろん遺跡でも見学に来た県内の小学生に「青森の宝」が「日本の宝」になり、そして「世界の宝」になるんだよと話すと、子供たちの顔が誇らしげにきりりとしてくる。
遺跡にお出でになる県外のお客様の応援も多くてありがたい。「世界遺産(候補)を息子と勉強に来ました」と話すお父さんの言葉を聞いて、世界遺産の衣をまとった縄文遺跡群は付加価値の付いたキラキラ輝く特別な存在になるのだと思った。
三内丸山遺跡が発掘された時は衝撃デビューだったけど、26年たった今は、人々の広く厚く深い縄文愛に覆われているような気がしている。
これからも遺跡を楽しむ、遺跡で楽しむ、そしてみんなでワイワイ言いながら遺跡を育てていくことが未来の人とつながっていく事だと思う。

暖かくなって、リンゴの白い花が咲いたら行ってみたい遺跡がある。弘前市の大森勝山遺跡です。2月の初め、地元で「世界遺産と縄文 大森勝山遺跡の世界遺産登録に必要なものとは」のフォーラムに出かけた。こんなに縄文愛、地元愛に溢れたフォーラムは聞いたことがない。聞いた後、心があたたかくなってきた。参加した三内丸山遺跡解説員の「心が震えてきた」、「一つ一つのフレーズが心に残る。もう一度聞きたい」との感想が物語っている。今でも時々配られた資料を見ては大森勝山遺跡に思いをはせている。
「内外の日本人の応援が必要」、「地元の人が愛していないとだめだ」、「目に見える形で見せる事が大事」、「遺物は寡黙だから、何度も話しかけなければならない」(東京国立博物館 品川欣也氏)
「住んでいる人みんながガイド状態」、「みんなが遺跡を主体的に話せて、伝えて欲しい」、「人と人をつなぐ場」、「100年200年しないと価値は根づかないので、ずっと守っていくしかない」(文化庁 鈴木地平氏)など、世界遺産をめざす私たちにふさわしい素敵なフレーズである。

縄文愛、郷土愛があふれた会場

 

大森勝山遺跡の担当者からは、環状列石の復元作業を開始しているとの報告があった。現在、岩木山の石の選別中であるという。縄文人が200~300年かけて作った環状列石を令和人が作るなんてファンタスティック! 同じ作業をすることで新発見があるかもと思うとこの遺跡から目が離せません。スマホが使えない遺跡でも、行っても行ってもたどり着けるのか不安になる遺跡でも、秋に行くとリンゴ泥棒に間違えられるよ(今は仮設道路が出来ました)と教えられた遺跡でも、通い続けたい遺跡の一つです。


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